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昨日は、年1回しかない、理化学研究所の一般開放日で、妻と見学に行きました。 [双極性障害]

 昨年、1度理研に一般開放日に見学に行ったので、交通機関の利用の仕方も、
大体、頭に入っていた。恵比寿から埼京線の快速で、池袋に出て、東武東上線の
急行に乗り、和光市に着いた、今年から、東武バスを貸しきって送迎バスを運行させて
いる事は、理研の和光研究所が駅からかなり離れている事から、大歓迎だった。
然し、人気が高い為、とても混んでいた。
 理科学研究所に着くと、ヤエザクラが満開だった。
 お目当ての脳科学総合研究センター(BSI)の中央棟4Fセミナー室の精神疾患分子動態研究
チーム(双極性障害の最先端研究をしている)の展示場に行った。研究員の人に、
mtDNAを変異させた疾患モデルのマウスについて、主に説明を受けた。
その内、チームリーダー・グループディレクターである、加藤忠史先生が来られ、
詳しく説明して頂いた。ミトコンドリア機能障害説に従い、脳特異的に、ミトコンドリアDNA欠失が蓄積する
マウスを作成し、解析を行なった。核のmtDNA合成酵素(ポリメラーゼγ、POLG)の変異が原因遺伝子
の一つで有ることが報告されている。
「精神の脳科学」加藤忠史編p.166-168東京大学出版会、参照。
治療薬の作用メカニズムの研究
 双極性障害に有効だと分かっている薬が、どの様に作用するかを動物実験、細胞の実験等から
調べる。現在の薬のメカニズムが分かれば、副作用を減らす工夫が可能になる。
然し、上記の疾患モデルマウスはLiは効くが、バルプロ酸は効かない様だ。
 然し、この様な研究には限界が有り、現在の薬が効かない症例には、効く薬を開発する
手掛かりは得られないかも知れない。
血液を用いた研究
 双極性障害の患者の血液で、物質の量を測定したり、血液細胞の働きを調べる。
 血液の変化から、脳の働きを調べる事は容易ではではないが。
 双極性障害の患者の血液細胞では、細胞内Ca2+
の濃度が変化している。カルシウムの反応性が高まっている。
私は素朴な疑問から、先生に何故、双極性障害の患者では、細胞内カルシウム濃度が高くなって
いるのですか?と聞いた処、小胞体に有る、WFS1は、脳内では海馬に加え、扁桃体、側坐核等の
感情との関連が疑われる諸部位に多く存在している。WFS1の機能はカルシウムチャンネル様の活性
を持ち、細胞内カルシウム濃度に影響すると考えられている。小胞体ストレスやミトコンドリア機能異常
により細胞死が起こると考えられる。
「精神の脳科学」加藤忠史編p.168-171東京大学出版会、参照。
脳画像研究
 MRI等で調べる。しかし患者が調子が悪い時は測定できない事や、治療薬の影響を受ける等問題も有る。
双極性障害の患者の脳では、白質高信号が多く見られる。
死後脳研究
亡くなった患者の脳を調べて、病気の原因を調べる。精神疾患ではアルツハイマー病やパーキンソン病の様に、
脳にはっきりした異常は未だ見つかっていない。
 海外では亡くなった精神疾患の患者の脳を保存し、研究者に提供する「脳バンク」が有るが、日本では、こうした
活動は未だ始まったばかりである。
 未だ、研究途上では有るが、BSIでは、網膜視床下部路から視床下部室傍領域を経て、
視床下部の他領域からVTA(中脳腹側被蓋野)に至る何処かに、気分制御神経が存在
するのではないかと仮説を立て、死後脳のニューロンとグリアについて、注意深く検討している。
「精神の脳科学」p.176-180,参照。
 2008/5/28に発足予定の双極性障害の当事者会(ノーチラス会)も、出来れば、
研究者とタイアップして、是非、双極性障害専門のブレインバンクを創設し、
(日本には未だ無い)登録して、死後脳を有効に研究に使って貰いたいと思っている。
ゲノム解析
 ゲノムは、身体を作る設計図で、ゲノムを調べる事は、病気の原因解明にとっては何よりも重要である。
 精神疾患に罹りやすくなる遺伝子はかなり沢山有り、例えば「双極性障害になり易くなる遺伝子を10個
もっていると発症する。但し誰でもこうした遺伝子を5個位は持っている。
何故この様に多数の人が双極性障害に罹りやすくなる遺伝子を持っているかと言うと、それが何らか
の形で有利に働くからである。例えば双極性障害に罹りやすくなる遺伝子として提案されているものの
一つに、BDNF(脳由来神経成長因子)のMet66と言う物は、此れをもっている人は記憶力が良いと
言われている。
 然し、精神疾患では、「このDNA配列持っていると発症し易くなる」と確認されたものは、特殊な場合
を除き一つも発見されていない。
「精神の科学」p.163-164,参照。
エピジェネティクス研究
 最近、盛んになって来た研究方法で、一卵性双子で、DNAの配列はまったく同じにも拘らず
一人だけ発症する例が有る。
 DNA→RNA→蛋白質、DNAがRNAになる間にメチル化等の修飾を受けることが分かってきた。
双極Ⅱ型の患者のDNAは、健常者のDNAに比べメチル化を受けない部位が有り、
発現量に違いが出来ている。続く。






 
タグ:双極性障害
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